君は「レディ・プレイヤー1」を見たか?

恐ろしいほど盛大にネタバレします。

 

 レディ・プレイヤー1は公開初日に4DXで見に行ったんですが、原作の「ゲームウォーズ」も買ったんですよ。レオパルドンのくだりに惹かれて!それを読み終えるまで感想については述べるまいと思っていて、つい本日読み終わったので書きます。

はっきり言って、たくさんのコンテンツから、いろいろなものがひっ切りなしに引用されていて、それぞれについて彫り下げられることなく、画面を流れ去っていくのは寂しいと思った。その点では、この映画は悪趣味で最悪だと思う。

 

・レディ・プレイヤー1の終わりの「オタクが金持ちになって、彼女をゲットするいけ好かない奴になって終わる」件について

 

金持ちってのは、だいたいいけ好かないヤツなんだ。金持ちがいい人だったら、貧乏でいい人の立つ瀬がなくなるから、いけ好かないでいるべきだと私は思う。

それはそれとして、勘違いしてしまいそうなんだが、レディ・プレイヤー1は、「ウェイド・ワッツの物語ではない」ということが重要だ。

じゃあ、誰の、ということになるが、「ジェームス・ハリデー」の物語だ。徹頭徹尾、ハリデーの物語なのだ。

彼は、冒頭で死んでしまっている。だから、物語(エッグ・ハント)が終わってしまったら彼の物語はもう無い。だが、それでいいのだ。

仕方ないので、私たちは金持ちになったオタクを見せられる。仕方ない。

 

・「恐怖の墓所」について

原作のゲームウォーズでは、最初のカッパー・キーは恐怖の墓所に隠されている。

この点だけを鑑みても、D&Dプレイヤーはゲームウォーズを読まなければならない。

しかし、映画では、レースに置き換えられてしまった。

恐怖の墓所を映像化したものを見るチャンスを1世紀くらい、D&Dプレイヤーは逃すことになってしまったのだ。

しかし、ガンターで溢れかえった恐怖の墓所の映像を見て、恐怖の墓所をプレイしたとして、笑ってしまって、ゲームにならないという悲劇を回避できたという点ではよかったのかもしれない。

 

・消えたレオパルドンについて

Wikipediaによるとレオパルドンはアメリカでは放送がないので死ぬほど知名度がないから出演は見送られたんだってさ、残念だね!

でも、東映スパイダーマンが大好きなお友達は絶対にゲームウォーズ読もうな!

レオパルドンを選ぶ下りを読むだけで本当に本当にうれしい気持ちになれるぞ。

さて、なんでレオパルドンが消えたのか、それは、巨大ロボが最後にわんさか出てきて激突するラストバトルになったら、巨大ロボの貴重さ、みたいなものが薄れるからだろう。シクサーズの雑兵Aが、どっかから持ってきたとも知れないボルトロンに乗って、味方のアイアンジャイアントと取っ組み合いになって、横で別のロボットが戦って……。スペシャル感がなくなったね。

やはり、最後のメカゴジラ vs RX-78ガンダムが際立つのは、それが唯一だからだ。

ダイトウは、原作ではソレントの指示で殺されてしまうのだが、映画ではソレントを打ち破っている、それが原作小説への意趣返しであり、そういう楽しみがあっていいのだと思う。

原作ではガンダムはエイチが選んでおり、あんまり活躍していない。

3Dでぐりぐり動くガンダムがスクリーンを飛んだり跳ねたりしているのと、やはり「俺はガンダムで行く」のシーンを見られただけで21世紀まで生きていてよかったと思えるのではないだろうか。

 

・オグの立ち位置とシナリオの変化

原作では、ハリデーは、死の間際、オグにすべてを打ち明けて、エッグハントの見届けを頼んでいるが、映画では、ハリデーは何も言わずにすべてを準備し、そして死んだ。

オグは映画では特殊な立ち位置でハントの行方を見守ることになる。

どうして、こんな改変になったのだろうか。

やはり、ハリデーは死の間際にあっても、自分が友人の奥さんに恋い焦がれていて、その旦那の親友のことを感情上でどう扱っていいか分かりかねていた、ということをウッカリ話すようなコミュ能力は備えていないと気が付いてしまったからではないだろうか。

そして、ゲームウォーズ、ひいてはレディ・プレイヤー1は、ハリデーの物語であり、作品全体でハリデーのメッセージを表すのだとしたら、エッグハントこそが、ハリデーの心を語るものであり、そうあるべきだと判断したのだろう。

最高に賢いな、誰が書いたんだ?と思って調べたら原作者だった。

 

・「シャイニング」について

娘と一緒に見に行ったら、シャイニングが始まっちゃって、娘がめっちゃおびえてた、どうしてくれるんだ!!

 

それはそれとして、あの、シャイニングのホテル、そして、フィルムの感じがそのまま再現されている感じ、本当にすごいと思った。

ホテルでエイチが、全裸の美女に迫られて、なんとなく釣られているのが理解できなかったんだけど、これもなんとなくこれが理由かな?ということが原作に書かれていたので、みんなもゲームウォーズ読もうね。

 

ウルトラマンについて

原作だと、ラストはウルトラマンvsメカゴジラ(機龍)なんですよ!!すごくないですか?!

宇宙人vs対ゴジラ兵器ですよ!

これはこれで見たい。

 

・じゃあ、結局なんだったんだろう

この映画は、21世紀の技術で作った1980年代の映画だと思う。

デロリアンが出てくるし。

エンターテインメントにある意味徹した作品で、強いメッセージを持っているものではないんだろうな。

しかし、作品の底に流れているのは、80年代への懐古であり、リスペクトであり、そして、自分が好きなものをみんなにも好きになってほしいというハリデーないし、原作者の気持ちだったんだろうなと思う。

 

この原作も作品も、俺の考えた最強のゲーム機についてだらだらと妄想を垂れ流しているにすぎないが、しかし、たくさんの好きな何かに出会えるとしたら、

やはり1000兆点つけないとならん映画なのではないかと思う。